相続を承認するか放棄するかの選択

「相続」ときくと、通常思い浮かべるのは、亡くなった人が残した財産を残された人で分け合うというイメージだと思います。

ところが、相続とは財産だけを引き継ぐわけではありません。

もし、被相続人が借金を残して死亡した場合には、その借金も財産と同様、相続人に引き継がれることになるのです。

これを「単純承認」といいます。

残された借金が、残された財産の範囲内であったとすればさほど問題はありません。

残された財産の中から借金の支払いをすればよいわけです。

しかし、もし借金が多額で、残された財産ではとても支払いきれないという場合はどうなるのでしょうか。

相続人は、亡くなった人の代わりに、自分の財産を切り減らしてでもその借金を負わなければならないのでしょうか。

それではあまりに酷ですね。

相続人にとっては、自分が作った借金でもないわけですから。

このような場合に備えて、法は「限定承認」や「相続放棄」という選択肢を設けています。

「限定承認」というのは、相続によって得られた財産の範囲内でのみ、借金を返すということです。

一方、「相続放棄」とは言葉の通り、相続をまるごと放棄することを意味します。

被相続人の財産を1円たりとも受け取らない代わりに、借金も一切支払わない、というわけです。

相続人は状況に応じて、これらの方法を選ぶこともできます。