相続税の詳細は弁護士に相談

相続財産が5000万円以上あったときには、相続税がかかってくることを、以前お話ししました。

今回は、この相続税について、もう少し詳しくみていきたいと思います。

相続税は、被相続人が亡くなったときに、その財産を引き継ぐ人が支払わなければならない税金です。

例えば、親が死亡して、子どもが親の残した財産をもらうことになった場合は、その子どもが相続税を支払うことになります。

あるいは、夫が死亡してその妻が夫の財産を全て相続したときには、妻に相続税がかかってくるというわけです。

「財産を相続」といいましたが、ではこの「財産」とは具体的にどのようなものを指すのでしょうか。

ここでいう「財産」には、基本的に、生前被相続人に属していた物全てが含まれます。

つまり、家や土地はもちろんのこと、銀行の口座に預けられていた現金、株をやっていたとしたらその株式、さらには趣味で集めていた切手や絵画もそうです。

それだけではなく、被相続人の自宅の机や椅子、箪笥なども、この「財産」としてカウントされます。

しかし例外として、相続財産に含まれない物もあります。

それは、例えば仏壇やお墓のような、礼拝の対象となる物です。

他にも、国や公益法人に寄付した財産などは、相続税がかかりません。

ただ、このような相続に関する問題はやはり複雑なので弁護士などの
専門家に一度相談するのがベストだと思います。

弁護士であれば、相続に関する知識も間違いないので、
万が一のミスを避けることもできると思います。

もし、真剣に相続問題について考えるのなら、
弁護士に法律相談して見た方がよいかもしれません。

沖縄の弁護士

みなし相続財産ってなに?

被相続人が死亡したときに所有していた財産は、一部の例外を除いて全て、相続財産として相続税の対象になると、前回述べました。

(ただし、5000万円以下の相続財産には、相続税はかかりませんね。)

さらに、被相続人が所有していた財産以外にも、相続財産として相続の対象となるものがあります。

それは、生命保険金を代表とするいわゆる「みなし相続財産」です。

生命保険金は、実際は被相続人が死亡した後に支払われるものですから、厳密に言えば被相続人が所有していた財産とはいえません。

しかし、その性質をみれば、他の相続財産と同じく、残された者に法に従って分配することが妥当といえますから、「みなし相続財産」として扱われるわけです。

さて、生命保険金が「みなし相続財産」として相続税の対象とされるには、一定の条件があります。

すなわち、今までに支払われてきた保険料の支払人と、その保険をかけられている人とが同じ人物であり、その人物が死亡したという場合です。

相続される人のことを「被相続人」と呼ぶことを以前お伝えしましたが、保険をかけられている人のことは「被保険者」と呼びます。

この機会にぜひ覚えておきましょう。

なお、この生命保険金は、その全額に対して相続税がかかってくるわけではなく、一定の枠があります。

このこともできれば頭の片隅に入れておいてくださいね。

相続を承認するか放棄するかの選択

「相続」ときくと、通常思い浮かべるのは、亡くなった人が残した財産を残された人で分け合うというイメージだと思います。

ところが、相続とは財産だけを引き継ぐわけではありません。

もし、被相続人が借金を残して死亡した場合には、その借金も財産と同様、相続人に引き継がれることになるのです。

これを「単純承認」といいます。

残された借金が、残された財産の範囲内であったとすればさほど問題はありません。

残された財産の中から借金の支払いをすればよいわけです。

しかし、もし借金が多額で、残された財産ではとても支払いきれないという場合はどうなるのでしょうか。

相続人は、亡くなった人の代わりに、自分の財産を切り減らしてでもその借金を負わなければならないのでしょうか。

それではあまりに酷ですね。

相続人にとっては、自分が作った借金でもないわけですから。

このような場合に備えて、法は「限定承認」や「相続放棄」という選択肢を設けています。

「限定承認」というのは、相続によって得られた財産の範囲内でのみ、借金を返すということです。

一方、「相続放棄」とは言葉の通り、相続をまるごと放棄することを意味します。

被相続人の財産を1円たりとも受け取らない代わりに、借金も一切支払わない、というわけです。

相続人は状況に応じて、これらの方法を選ぶこともできます。

贈与税

相続財産に相続税がかかってくるように、贈与にも贈与税という税金がかかってきます。

父親から現金で400万円もらい、さらに500万円の車を買ってもらったというときに、その後父親が亡くなった場合は、これらの現金と車をもらったことは贈与を受けたことになりますから、贈与税の対象となります。

相続税に基礎控除額があったように、贈与税にも基礎控除額があります。

その額は年間110万円です。

合計金額が110万円以内であれば、一年間で何度贈与を受けても、贈与税はかかりません。

これは、同じ人から贈与を受けた場合でも、別々の人から贈与を受けた場合でも、とにかくそれら全ての合計金額で計算されます。

110万円以内ならば問題ないのですが、これを超えると贈与税がかかってきます。

そして注意していただきたいのは、
この贈与税というのは、贈与を受ける金額が大きければ大きいほど、税率が高くなってしまうということです。

先ほどの、父親から現金と車をもらった例ですが、
合わせて900万円の贈与から基礎控除額110万円を差し引いて790万円。

基礎控除後の贈与の価格が600万円以上1000万円以下の場合、かかってくる贈与税の税率は40パーセントです。

またそこからの控除額が125万円ですから、結局のところ、790万円×40%-125万円で、191万円の贈与税を支払うことになります。

現金でもらった額は400万円でしたが、その約半分を税金として支払わなければならないわけです。

もらったものだと思ってパッパと景気よく使ってしまっていたら、後で大変なことになってしまいます・・・気をつけましょう。

負担付贈与について

「贈与」とは、漢字がその意味を示しているように「贈る・与える」こと。

すなわち、自分の財産を無償であげることを「贈与」といいます。

民法では、「贈与」は「当事者の一方が自分の財産を無償で相手方に与える意思表示をして、相手方がこれを受託することによって効力が生じる」と定められています。

小学校三年生くらいになると、お母さんからお小遣いをもらう子どもも多いと思います。

お母さんが子どもに「はい、これ1000円あげますよ。よく考えて大事に使ってね。」とお小遣いを渡し、子どもが「うん、ありがとう。」と言ってそれを受け取る。

これも贈与です。

あるいは、夏休みに子どもが、おじいちゃんとおばあちゃんに会いに田舎へ行く。

かわいい孫に、おじいちゃんとおばあちゃんが「ほれ、これお小遣いだよ。お前の好きな物を買いなさい。」とお金を渡し、子どもが「わーい、ありがとう!」ともらっても、これまた贈与になります。
つまり、ここでのポイントは、「これをあげる」という意思表示と「それをもらいます」と意思表示、両方があって初めて贈与の効力が生じるということです。

相続の場面においても、贈与がおこわれることは多いです。

よくあるのは、「私が死んだら、今住んでいるこの家と土地をあげよう。ただし、まだローンが10年残っているから、私が死んだときにはその返済も代わりに頼むよ。」というケースです。

このような贈与を「負担付贈与」といいます。

場合によっては、もらうものより負担の方が大きいときもありますから、このような状況におかれたときは、どうするのが良いかよく考えてから返事をしましょう。